都市が抱える課題――人口減少、老朽化インフラ、エネルギー問題、災害対策。
これらを最新のテクノロジーで解決しようとする取り組みが、今「スマートシティ」として各地で進んでいることをご存知でしょうか?
本記事では、日本国内で注目されるスマートシティ候補地6つをピックアップし、それぞれの取り組みや特徴、共通点、そして今後の課題と展望をわかりやすく解説します。
行政関係者やまちづくりに関わる企業、そして未来の暮らしに興味があるすべての方に向けて、スマートシティの最前線をお届けします!
Contents
日本のスマートシティ候補地6つはどこ?未来都市の最前線を探る!
スマートシティとは何か

スマートシティの定義と目的
スマートシティとは、ICT(情報通信技術)やAI、IoTなどの先端技術を活用して、都市の課題を解決し、持続可能で快適な生活を実現する都市のことです。
スマートシティとは
スマートシティという言葉は広く使われ、各地でさまざまな取り組みが行われておりますが、政府の施策におけるスマートシティは以下のように定義されます。
グローバルな諸課題や都市や地域の抱えるローカルな諸課題の解決、また新たな価値の創出を目指して、ICT 等の新技術や官民各種のデータを有効に活用した各種分野におけるマネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、社会、経済、環境の側面から、現在および将来にわたって、人々(住民、企業、訪問者)により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域
目的は、以下のように多岐にわたります。
- エネルギーの最適化(スマートグリッドなど)
- 高齢化への対応(見守りシステム、遠隔医療)
- 災害への強靭性(リアルタイムデータによる避難支援)
- 交通の円滑化(MaaS=Mobility as a Service)
スマートシティとスーパーシティの違い
混同されがちですが、「スーパーシティ」はより大胆な構想の都市を指します。
法律や規制の特例措置を活用し、ゼロから理想の未来都市をつくるという点で異なります。
スマートシティは既存の都市をアップデートしていくのに対し、スーパーシティは都市そのものを再設計する試みです。
日本国内のスマートシティ候補地6選
日本のスマートシティ候補地①北海道札幌市:DATA-SMART CITY SAPPORO
札幌市では「DATA-SMART CITY SAPPORO」として、都市活動のデータを集約・分析し、政策やサービスに活かす取り組みが進行中。
市民の移動データ、気象情報、防災データなどを活用し、都市運営をデジタルで支える体制を構築しています。
日本のスマートシティ候補地②福島県会津若松市:ICTを活用した地域活性化
震災復興のモデル都市として注目される会津若松市は、ICT教育や電子カルテの普及など、生活インフラ全体のデジタル化が特徴です。
地元企業と連携したデジタル人材育成にも力を入れ、産業と教育の両輪でスマート化を推進中。
スマートシティAiCT -ICT関連産業の集積- | 会津若松市
日本のスマートシティ候補地③千葉県柏市:柏の葉スマートシティ
柏の葉キャンパスの緑が優しい!
— ライフタイムサポート (@lifetime_s) May 18, 2025
三井不動産開発の街、柏の葉スマートシティ!
アクアテラスに面したT-SITEも素敵な空間です☺️ pic.twitter.com/oZjjn7ztix
「柏の葉スマートシティ」では、三井不動産を中心に官民学連携によるまちづくりが展開中。
エネルギー自給型住宅やスマートモビリティ、健康管理サービスなど、住民のQOL(生活の質)向上を目指した施策が進められています。
日本のスマートシティ候補地④神奈川県横浜市:横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)
YSCP(Yokohama Smart City Project)は、世界規模で評価される都市モデル。
再生可能エネルギーの普及、家庭や企業のエネルギーマネジメント(HEMS/BEMS)導入を軸に、エコでスマートな都市を形成しています。
日本のスマートシティ候補地⑤静岡県裾野市:トヨタのウーブン・シティ
いよいよできるねトヨタの実験都市「ウーブン・シティ」✨
— 小藤まつ (@matsubockli) February 23, 2025
どんな人たちが住むんだろう~🤔 pic.twitter.com/xalYqjAp1x
2021年に発表されたトヨタのWoven City(ウーブン・シティ)は、自動運転・ロボット・AIを都市全体に導入する実験都市。
静岡県裾野市に建設中で、完成すれば世界で最も技術集約的な都市のひとつとなる見込みです。
日本のスマートシティ候補地⑥福岡県北九州市:エコモデル都市からスマートシティへ

エコタウン構想を先駆けて進めてきた北九州市。
現在ではスマートグリッドや水素エネルギーの導入、見守りICTなどを組み合わせた次世代型スマートシティに進化。
地域資源を活かした環境技術の導入に注目が集まっています。
日本のスマートシティ候補地の特徴と共通点
地域課題に応じた技術導入
都市ごとに異なる課題に対応するため、導入される技術はさまざまです。
たとえば、高齢化が進む地域では見守りや健康管理、交通不便地域では自動運転やMaaSの導入が進んでいます。
官民連携による推進体制
どの都市でも、行政だけでなく民間企業・大学・市民団体などとの連携がカギを握っています。
特に柏の葉や横浜では、企業の技術力と自治体の政策力を組み合わせることで、持続可能なスマートシティモデルを実現しています。
住民参加型の取り組み
「上からの押し付け」ではなく、市民がサービスの開発や検証に関わるスタイルが多く見られます。
アプリ開発のアイデア募集やモニタリング、ワークショップなど、住民が主役となる都市運営が求められています。
日本のスマートシティ推進の課題と展望
技術導入における課題
スマート化には多大な初期投資が必要です。
また、インフラが整っていない地域では導入のハードルが高く、都市間格差の拡大が懸念されています。
持続可能な運営モデルの構築
テクノロジー導入後の「運営維持」が課題です。
サービスの継続性、セキュリティ、データガバナンスなど、長期的視点でのマネジメント体制が不可欠となります。
今後の展望と期待される効果
スマートシティは都市の効率化だけでなく、住民の暮らしやすさ、幸福度向上にも貢献します。
将来的には、地域間連携や海外都市とのネットワークを通じて、世界に先駆けた日本型スマートシティモデルが生まれる可能性もあります。
まとめ:日本のスマートシティが描く未来都市の姿
日本各地で進むスマートシティ化は、ただの「技術導入」ではなく、人々の暮らしを豊かにする新しい都市のあり方を模索する動きです。
本記事で紹介した6つの候補地は、それぞれの地域課題や特性に応じた形で、未来の都市像を描き始めています。
行政や企業、市民一人ひとりが参加することで、スマートシティは「理想」から「現実」へと進化していきます。
今後、どの都市が本当の意味で“スマート”な未来を実現するのか、ぜひ注目していきましょう。