
「この本、もう捨てようかな…」
「責任を棄てるなんて、無責任だ!」
同じ「すてる」という読みでも、使われる漢字が違うと、微妙にニュアンスも変わってきますよね。
本記事では、「捨てる」と「棄てる」の意味や使い方の違いを、わかりやすく解説します。
ニュアンスの違いや適切な使い分けをマスターすることで、文章力や表現力も格段にアップしますよ!
Contents
『捨てる』と『棄てる』の違いとは?意味・使い分けを徹底解説
『捨てる』と『棄てる』同じ読みでも意味は違う?

「捨てる」も「棄てる」も共通して「手放す・放棄する」意味を持ちますが、使われる場面や込められる感情に違いがあります。
- 捨てる:物理的に手放すことが多い
- 棄てる:意志的・責任ある放棄のニュアンスが強い
なぜ『捨てる』と『棄てる』の違いを知っておくべきか
文章やSNSでの発信が増える中、「言葉の選び方」はその人の印象を左右します。
特にフォーマルな文章では、間違った漢字を使うと誤解を招くことも。
適切な使い分けを知ることで、伝えたいニュアンスを正確に表現できるようになります。
「捨てる」の意味と使い方
【捨てる】基本的な意味と日常的な使い方
「捨てる」は、不要になった物を物理的に処分する行為を表します。
例
- ゴミを捨てる
- 使い古した服を捨てた
- ペットボトルを分別して捨てる
【捨てる】抽象的な使い方(夢・感情など)
物ではなく、考え方や感情にも使われることがあります。
例
- 夢を捨てないで
- プライドを捨てて謝る
- 期待を捨てる
ここでは「放棄する」「手放す」という抽象的な意味合いが含まれています。
【捨てる】仏教的な背景や派生表現も紹介
仏教では「捨(しゃ)」という概念があり、執着を手放すという意味で使われます。
これが「捨てる」の精神的・哲学的な意味の源になっています。
「捨てる」か「棄てる」か。同じ「すてる」ではあれ、そこには果てしない違いがあるようだ。「捨てることで何かを得る」ことはあっても、「棄てることで全てを失う」こともある。捨てても後で拾えるもの。棄てたら元に戻らないもの。自分を捨ててもいいが、自分を棄ててはならない、ということらしい。
— 藤本友徳 (@tomogang) December 3, 2018
「棄てる」の意味と使い方
【棄てる】「捨てる」との違いは“強い放棄のニュアンス”
「棄てる」は、「責任」「権利」「立場」など、道徳的・社会的に重要なものを自ら放棄する際に使われます。
そこには意志的・重大な選択が含まれます。
例
- 職務を棄てる
- 権利を棄てる
- 子を棄てる(かなり強い表現)
【棄てる】よく使われる場面(命・責任・権利など)
感情的・倫理的重みのある行動に使われます。
例
- 命を棄てる(命を自ら絶つ意)
- 責任を棄てる(義務を放棄する)
- 民意を棄てた政治(政治批判文脈)
【棄てる】法律用語や公的な文章での用例
法律や公文書では「棄却」「放棄」などの熟語で「棄」が使われます。
例
- 棄却(ききゃく):訴えを退けること
- 棄権(きけん):投票権を行使しないこと
- 棄児(きじ):育児放棄された子供(古い表現)
「捨てる」と「棄てる」の使い分け
【比較】「捨てる」と「棄てる」のニュアンスの違い
使用例 | 適切な漢字 | 理由 |
---|---|---|
ごみを◯てる | 捨てる | 日常的・物理的な処分 |
子どもを◯てる | 棄てる | 道徳的・深刻な放棄 |
権利を◯てる | 棄てる | 法的・社会的責任を放棄 |
夢を◯てない | 捨てる | 抽象的・希望の放棄 |
読み方は同じでも印象が異なる理由
両方「すてる」と読むため混同されがちですが、文章にしたときの印象がまったく違います。
「棄てる」は重々しく、読者に強い印象を与えます。
書き分けが求められるケースとは?
- 公的文書・論文では「棄てる」を使用すべき
- 日常会話・カジュアルな文では「捨てる」が一般的
よくある誤用と注意点
SNSや文章での混同例
SNSやブログでは「子を捨てた母親」などと書かれるケースもありますが、より正確には「棄てた」が適切です。
ニュアンスの違いを理解しておくことで、誤解のない表現が可能になります。
常用漢字表の観点からの使い分け
実は「棄」は常用漢字に含まれておらず、新聞や一般記事では使われにくいことがあります。
その場合は「放棄」など別表現が使われることもあるため、媒体に応じた判断が必要です。
まとめ
「捨てる」と「棄てる」は、似ているようでニュアンスに大きな違いがあります。
- 捨てる:物理的に手放すことが多い
- 棄てる:意志的・責任ある放棄のニュアンスが強い
状況や文脈に応じて使い分けることで、伝えたい感情や意味をより的確に伝えることができます。
「言葉は思考の道具」と言われるように、正しい言葉を選ぶことで、読み手に与える印象も変わります。
ぜひ今日から、「捨てる」と「棄てる」を意識して使い分けてみてくださいね。